2017年 期待の邦楽アクト 20選
20 ANTICIPATING JAPANESE ARTISTS of 2017
BBC「Sound Of」シリーズのノリで、日本の音楽シーンにおける2017年期待の若手アーティストを20組、僕なりの感覚で選んでみました。このあたりの人達が2017年を盛り上げてくれそうだなという予測と希望的観測を織り交ぜつつ。だいぶ偏ってると思いますし「この人若手?」と思われる方もいるかもしれませんがお許しください。あと、ここにいない今年オススメのアーティストいましたらぜひとも教えていただきたいです。ではでは、紹介していきます。
1. Suchmos
はい、いきなり有名どころを選びました。ご存知の方も多いでしょう、Suchmos(サチモス)です。かねてからジャパニーズ・インディ界隈では有名なバンドでしたが、昨年「STAY TUNE」がCMソングとして起用されたことでお茶の間層にまで名前が浸透しつつありますね。YouTubeの再生回数も1000万回の大台を突破しています(すごい)。そんな乗りに乗っている彼等ですが、1月25日にニュー・アルバム『THE KIDS』をリリース。このアルバムによって彼等はより多くのリスナーに認知されることでしょうし、後のシーンにどのような影響を与えるのかまで含めて非常に興味深い、2017年の重要作になりそうです。
2. Nulbarich
Suchmosのブレイクで和製アシッド・ジャズの気運が高まっていますが、そんななかで昨年、マルーン5に通じる軽妙さを持って登場したNulbarich(ナルバリッチ)にも注目したいです。ビジュアル・ファッション性をキャラクターに組み込んだSuchmosとは違う、謎に包まれた覆面スタイルは大衆にどう映るのか、また、SuchmosやNulbarichは、現在飽和状態にあるシティポップのムーヴメントにどういう影響をもたらすのか(さらにブームを拡張させるのか、止めを刺すのか)。そのあたりの動向も気になるところ。
3. FIVE NEW OLD
神戸出身のバンドです。下の「Stay (Want You Mine)」を最近ラジオで聴いて彼等のことを知ったのですが、いや〜大好きですねこの曲。ニュージャック・スウィングをファンクで味付けした感じや、メロウR&Bの甘さもありつつAORっぽさもあるバランス感覚がツボで、最近ずっと聴いています。英国のThe 1975、もっと遡るならばボビー・ブラウンにホール&オーツ、プリンスまで参照点として挙げられそうですが、こういったロックとR&Bの中間を行った感じはSuchmosともリンクしますし、うまいこと気流に乗ってくれたら嬉しいです。
4. D.A.N.
昨年の僕のベスト・ソングの1位に選ばせてもらったD.A.N.ですが、今年も引き続き注目しています。
昨年末に発表されたニュー・シングル「SSWB」がまた良かったんですよね。この手の音が一般層まで浸透するかは謎ですが、シティポップの次にあるのは、こういうミニマルで洗練された音だったり、ロックとクラブミュージックのクロスオーヴァ―だったりする気がするので(感覚的に言っていますが)、もっと評価されてほしいし、何かの拍子で大衆に認知されたら・・・なんて期待を込めて応援しています。
5. yahyel
今年注目しているメディアも多いみたいですね。これでヤイエルと読みます。2015年結成の5人組。海外のトレンドを見据え、アンビエントR&Bやトラップを意識したハイセンスな楽曲が耳を引きます。はじめて聴いたとき「え、本当に日本人?」って驚きました。昨年は欧州ツアーも成功させているようで、海外での展開も気になるところ。昨年末に1stアルバムをリリースしたばかり。
6. 向井太一
1992年生まれのシンガー・ソングライター。僕はかなり期待しています。オルタナティヴR&Bをベースに、トラップやレゲエを取り入れたりと音楽性が先鋭的かつ多角的ですし、中性的で特徴のある歌声やビジュアルも華があって魅力的。イヤーズ&イヤーズみたいなバンド日本で出てこないかな〜ってここ1、2年思っていたんですが、バンドではないですが案外この人が近いかもしれないです。イヤーズ&イヤーズのオリー・アレキサンダーがインディR&Bに寄ったようなカッコよさを感じます。yahyelやD.A.N.はちょっと取っ付きにくいと思った人でも聴ける柔らかさもあるし、次世代の清水翔太ポジションを狙えるかも。
7. CICADA
シケイダと読みます。昨年GOMESSとのコラボ企画曲「City Lights」(せっかく良い曲なのに今のところ公式流通していない・・・)で知って、そのあとライブを観て気になったバンドです。ヒップ・ホップ/トリップ・ホップを90年代J-POP的に、かつバンドサウンドで再解釈したような感じなんですが、楽曲によってベースミュージックだったりシンセポップだったりと表現をガラッと変えてしまう柔軟さ、音楽的レンジの広さが魅力的。
また、ACOを彷彿させる、紅一点ヴォーカルの城戸あき子の存在感、声質の良さが大きいですね。彼女は昨年の冨田ラボのアルバムにYONCE(Suchmos)やコムアイ(水曜日のカンパネラ)と共に参加していて、そういったバンド外での活動を含め、ボーダーレスなスタンスに可能性を感じています。
昨年メジャーデビューを果たしたピアノロックバンド、HOWL BE QUIET(ハウル・ビー・クワイエット)。アニメのタイアップも手伝って徐々に知名度を上げていて、ブレイクするのは時間の問題か。たしかな演奏力に裏打ちされたサウンドを通しつつも、アイドルというフォーマットを使ってポップに振り切っているあたり、The 1975やウォーク・ザ・ムーンなど海外のポップ・バンドに通じるものがあります。日本のバンドカルチャーとは別文脈でこういうバンドが出てきたのは面白い。
9. 打首獄門同好会
このバンドは昨年ライブを観る機会があったのですが、(メンバー兼マネジャーのパワポVJ含めて)パフォーマンス力が高くインパクト大で面白かったです。ヤバイTシャツ屋さんもそうですけど、ナンセンスでノリ重視でわかりやすいので、フェスやライブ会場を中心に人気が出そう。
10. TORIENA
サウンド(作詞・作曲・編曲)からビジュアル・アート(イラスト・デザイン)まで全てひとりで手掛ける才女。チップチューンという音楽ジャンルをポップシーンで開拓していく活動をされていて、昨年はポップメイカーのYunomiと組んだ「大江戸コントローラー」や、Maltine Recordsからリリースした「解像度 EP」も話題に。ゲームボーイの実機を使ったライブ・パフォーマンスも奇抜で面白い。2月25日には初のワンマン・ライヴを予定しています。
2 0 1 7 . 2 . 2 5 ( s a t ) @ 渋谷 G l a d
— TORIENA@2/25 1stワンマン (@toriena) 2016年12月28日
⭐️WAKE UP!! TORIENA 1st ONE-MAN LIVE⭐️
OPEN17:00 / START18:00
▼前売りチケット販売開始https://t.co/ksa3qqcdd2 pic.twitter.com/yiyOY0cMcN
11. UCARY & THE VALENTINE
昨年から気になっている人ですね。下の「NEW DANCE」がエッジィでカッコイイなと思いまして。フローレンス&ザ・マシーンみたいな名前ですが、ソロ・プロジェクトだそうです。昨年はMOP OF HEADのゲストヴォーカルとして「Do It」という楽曲をリリースしていました。音源もまだ少なく、今年はどんな活動をされるのかわかりませんが、密かに応援しています。
12. テンテンコ
かつてBiSという(ある意味で伝説の)アイドルグループに所属していた人ですね。BiS解散後もソロ活動を続け楽曲をリリースしているのですが、アイドルの枠を超えた強靭さを感じられるものが多くカッコいい。最新曲の「くるま」は、∈Y∋(BOREDOMS)をサウンド・プロデューサーに迎え、ノイズ・インダストリアル・テクノに挑戦しています。新しいアイドル像としてのアイコン性を備えていると思いますし気なる存在です。
13. あいみょん
1995年の生まれのシンガー・ソングライター。他アーティストへの楽曲提供やインディーズ活動を経て、昨年11月にワーナー・ミュージックよりメジャー・デビュー。ポエトリー混じりの弾き語りがシニカルながらも聴き手に寄り添うような親密さがあって良い。同世代の若者のカリスマになり得るポテンシャルを感じます。
14. BOMI
1987年生まれのポップシンガー。最新アルバムからの「A_B」を聴いて気になりました。いまいちキャラクターを掴みきれていないのですが、実力派だと思いますしセンスの良さを感じますし、いつかのBONNIE PINKみたく何かのきっかけがあれば跳ねるんじゃないかなと思っています。
15. iri
1994年生まれ、神奈川県逗子市在住のシンガー・ソングライター。昨年アルバム『Groove It』でデビュー。アコースティックギターでの弾き語りを得意しつつも、ソウル/R&Bからヒップホップ・マナーの楽曲まで幅広く手掛ける多才ぶり。
16. chelmico
2015年にインターネット界隈から現れ、徐々に知名度を上げている女性2人組ラップデュオ、chelmico(チェルミコ)。英語の発音の独特さ含めフロウに、ケロ・ケロ・ボニトに似たクセになる中毒性がありますね。トラックメイカーの人選も含めてセンスを感じます。「テラスハウス」から飛び出してきたような、お洒落でアーバンな女の子像を演じていて、日常に遠すぎず近すぎずな絶妙な世界観が良い。
17. ぼくのりりっくのぼうよみ
現在大学一年生の18歳のぼくりり君ですが、才能を感じる気になる存在ですね。クラウドファンディングにオウンドメディア「Noar's Ark」の公開と面白い動きをしていて、音楽以外の活動も気になるところ。ニュー・アルバム『Noar's Ark』は1月25日公開。
18. SKY-HIGH
最近名前をよく耳にしますね。パフォーマンス・グループAAAのメンバー日高光啓のソロ・プロジェクトです。この人のJ-POPの黄金律のようなサウンドに乗せた軽妙なラップの組み合わせって面白くて、昨今のラップブームの流れに乗りつつも、昨年ブレイクした米津玄師や、RADWIMPSのような言葉数多めの語り部ロックに共振するものがあり、フロウで言うと先ほどのぼくりりに通じる独特の臭みがあったりして、参照点が色々なところに存在するんですよね。それだけ広範囲に響きそうなフック力を感じるので、今年さらに多くの人を巻き込んでいくんじゃないかという予感がしています。
19. Creepy Nuts (R-指定&DJ松永)
R-指定は「フリースタイルダンジョン」に始まったジャパニーズラップ・ブームの火付け役の一人。そんな彼とDJ松永によるユニットCreepy Nutsの新曲「助演男優賞」はかなりポップに寄せた作りで、これはヒップホップやラップに馴染みのない人にも響きそうな、メインストリームに貫通しそうな強度を感じますね。時事ネタをブラックに扱いつつダンスのフリも印象に残るヴィデオも憎いくらいよく出来ています。
20. PUNPEE
最後はこの人。日本のヒップホップ・シーンでは有名なMC/トラックメイカーですね。最近、ゲームソフト「キングダム・ハーツ HD2.8 ファイナルチャプター プロローグ」のテーマソングとして宇多田ヒカルの「光」のリミックスを他掛けたり、STUTSとの「夜を使いはたして」が「テラスハウス」の挿入歌に起用された流れがあり、彼から日本のヒップホップシーンからメインストリームへと躍り出ようとする勢いを感じます。
2016年 ベスト・アルバム (50位→1位)
BEST ALBUMS of 2016 (50位→1位)
デヴィッド・ボウイ、プリンス、レナード・コーエン、さらにはジョージ・マイケルまで、2016年は近年稀に見る音楽遺産を失った年で、「ポップミュージックの終わりを象徴している」など、ネガティヴな声も耳にしました(そう言いたくなる気持ちはわかります)。ただ、そういった悲しい出来事に反して、例年に増して良質な作品が数多く産み落とされたことも事実でした。特にブラック・ミュージックの隆盛は特筆すべきで、2月7日の「スーパーボウル・ハーフタイムショウ」で、ここ数年加熱し続けている「Black Lives Matter」のムーヴメントに対してビヨンセが言及したことは大きな出来事でした。ビヨンセのパフォーマンスと「Formation」のリリースを皮切りに、彼女に触発される形でビッグネーム達がこぞって歴代ベストとも言える作品をリリースし、良い相互作用を生んでいたように見えました。
そういった良い流れはここ日本でも例外ではなかったように思います。日本の場合は音楽と政治の結びつきこそ薄いですが、宇多田ヒカルやTHE YELLOW MONKEYといった大物の復活はシーンを活気づけたし、SNSやストリーミング・サーヴィスを介してセンスある若手アーティストが頭角を現わしていったりと、良い予兆を感じさせる一年でもありました。
そんな2016年の50枚を、僕なりの感覚で選びました。名盤を選ぶとなるとどうしてもベタな作品ばかりになってしまいますが、選んでいて明るい気持ちになりました。どれだけダウンロードとストリーミングが主流になろうとも、素晴らしいアーティストは良いアルバム、良い作品を心血注いで作り、彼等なりのやり方で我々のもとに届けてくれることに変わりないのだから。2017年も刺激的で良い作品に出会えますように。
続きを読む2016年 ベスト・ソング (100位→21位)
BEST SONGS of 2016 (100位→21位)
今年は思い切って100曲をランキング形式で発表します。2016年らしさ、シーンへの影響力、そして僕の好みという3つのポイントを感覚的に合算して順位をつけてみました。ここ一週間ほど毎日のように順位を入れ替えては悩んでを繰り返していたのですが、年を越す前に発表したかったのでこれでフィックスします。
続きを読む2016年 ベスト・ミュージックヴィデオ
BEST MUSIC VIDEOS of 2016
The Avalanches - Because I'm Me
Director: Greg Brunkalla
2000年の大傑作『Since I Left You』からおよそ16年ぶりのリリースとなる、アヴァランチーズの2ndアルバム『Wildflower』より。ニューヨークの地下鉄の駅を舞台に、若きマイケル・ジャクソンを思わせる少年による愛おしいダンス・ヴィデオ。現実から地続きでファンタジーの世界になだれ込むこの世界観は、前作の表題曲「Since I Left You」を思い出させます。
Beyoncé - Formation
Director: Melina Matsoukas
今年の2月7日に開催された「スーパーボウル・ハーフタイムショウ」で、本来主役であるはずのコールドプレイから完全に主役の座を奪ったあのパフォーマンスを覚えているでしょうか。あの場で披露していたのが、ショー出演の前日に発表されたこの「Formation」でした。この新曲およびミュージック・ヴィデオは、海を超えここ日本でも話題となりました。
“What happened at the New Orleans!?(ニュー・オーリンズで何が起こったんだ!?)“の掛け声で始まるこのヴィデオ。ニュー・オーリンズを舞台に、水没したパトカーの上に横たわるビヨンセ、壁に落書きされた”Stop shooting us(私たちを撃たないで)”の文字、そして白人警官の前で踊る黒人の少年。そうです。このヴィデオは、2005年8月にアメリカ東南部を襲ったハリケーン・カトリーナの救助活動時に浮き彫りになった、警官による黒人差別の問題、そしてここ数年のあいだに立て続けに起きた白人警官によるアフリカン・アメリカンの射殺事件を受けて制作されています。このヴィデオがどういう意図で制作されたかは、言わずもがなです。このヴィデオ(およびハーフタイムショウのパフォーマンス)では、黒人女性達による「X」字のフォーメーション・ダンスを組んでいるのですが、これは攻撃的な黒人解放指導者として知られるマルコムXを意識していると言われています。衣装はまさにマルコムXの意志を継いだブラックパンサー党(黒豹党)ですね。ブラックパンサー党は、マイケル・ジャクソンが「Black Or White」のヴィデオのラストシーン(パンサー・パートと呼ばれている)で表現していた黒豹ともリンクしますが、この「Black Or White」のヴィデオでマイケルが演じているような、人種差別に対し攻撃的で過激な政治団体のことです。この衣装をビヨンセが身に纏っているということは、つまりそういうことです。
「Formation」のヴィデオに関しては様々な議論が交わされていて、ここで語るまでもないのですが、僕が知る限り、ビヨンセがここまでメッセージ性を強く過激なやり方で運動を起こした姿は見たことがないですね。これだけ影響力がある彼女がここまで踏み切った動きをするということは、バッシングも免れず下手をすると命の危険に晒される行為だと思うのですが、それを顧みずにこのビジュアル作品を発表したこと、大舞台で過激なパフォーマンスを行い、2016年の音楽界や政界の情勢に影響をもたらしたビヨンセには改めて脱帽させられました。あの2月以降、他のミュージシャンも彼女に触発される形で刺激的なリリースが続いたし、2016年の音楽シーンの流れを変えた重要人物でした。
Beyoncé - Hold Up
Director: Jonas Åkerlund
そんなビヨンセの「Formation」が収録されたアルバム『Lemonade』は、夫のジェイZの浮気にも言及した、プライヴェートなアルバムでもありました。この「Hold Up」は、ビヨンセのジェイZへの怒りを爆発させた、ひとりの感情を持った女性としてのビヨンセを演出しています。「Formation」と同軸でこういう振れ幅のある曲とヴィデオを作ってしまうあたり、さすがエンターテイナーだと思いますね。
BLACKPINK - Whistle / Boombayah
Director: Seo Hyun-seung
韓国YGエンターテイメントより今年デビューした4人組グループ。ビジュアルに特化したプロジェクトとのこと。グループの方向性としては米国のフィフス・ハーモニーからヒントを得ているのではないかと思いますが、映像的にはBLACKPINKの方が見所が多く色感も豊かで良いですね。
Cassius (feat. Ryan Tedder & JAW) - The Missing
Director: We Are From LA
クラブミュージック・シーンではベテランの域に入るカシウスのニューアルバムより。下のインタラクティヴ・ヴィデオが、カップルの組み合わせを変えられるコンセプチュアルで内容で面白いな思いました。
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PLAYLIST - 2016.11.14 NEW TRACKS
TR-2. [Alexandros] - Feel Like
[Alexandros]のことは「海外で人気の高い日本のバンド」という認識しかなくちゃんと聴いたことがなかったのですが、この曲で彼等を意識することになりました。
YouTubeにあがっている彼らの楽曲を一通り聴いてみて、メロディアスでダイナミックなバンドサウンドと甘いハイトーンヴォーカルの組み合わせ(ざっくりした感想でスミマセン)は、むしろ日本人受けしそうな印象を受けましたが、この曲こそ向こうで受けそうな感じがしましたね。UKインディロックバンドにありがちな泣きメロでお洒落なムードがありますし、80sライクなクールなヴァイブスはThe 1975に共振するところもあり同時代性を感じますね。圧倒的なオリジナリティは感じられないですが、素直に良い曲だと思います。
TR-3. Alicia Keys - Holy War
TR-4. The Avalanches - Because I'm Me
TR-5. Bruno Mars - Versace On The Floor
今回のリストだとこれがぶっちぎりで好きです。ブルーノ・マーズのまもなく発売されるニューアルバム“XXIV Magic”からのニュートラック。
前曲の“24K Magic”はトークボックスを取り入れた安定のディスコ・ブギーでしたが、今回は80s後半の、ニュー・エディションやクール&ザ・ギャング、あるいはマイケルを彷彿させる極上バラードですね。この手のR&Bは僕は大好きで十代の頃によく聴いていたので、当時を思い出してキュンとなっちゃいました。これからの季節にもぴったりですし。ド直球のリヴァイバルなので新しさこそないですが、今聴くとかえって新鮮というか、あまり取り上げられてこなかった曲調でもあります。という意味で、これも技ありですね。
TR-6. Blood Orange - I Know
TR-7. The Chainsmokers (feat. Halsey) - Closer
長いこと全米1位を独走していた“Closer”のMVがようやく到着。ということで改めて聴いています。
ここ数年のヒット曲には、すべてに当てはまるわけではないですけどある法則があって、「一緒に口ずさみたくなるメロディライン」と「美声(歌の上手さ、声質の良さ)」だと思うんですね。当時まだ無名だったディスクロージャーとサム・スミスの“Latch”や、顔無き歌い手シーアの“Chendelier”が売れはじめたあたりからその流れは感じていたのですが、一昔前のセレブ・シンガーやビートモノのEDMが主流だった頃とは違って、今は匿名でも良い音(EDMの反動もあり歌心のあるもの)、良い声が求められている時代な気がします。この曲もその典型ですね。一定の作家性を持たないチェインスモーカーズの名前は残らなくとも、「ああ、こんな曲あったな」って楽曲の名前は残るんでしょうね。
TR-8. Charli XCX (feat. Lil Yachty) - After The Afterparty
“Boom Clap”とアルバム“SUCKER”でメインストリームにのし上がりブレイクしたチャーリXCXですが、最近はマイペースに活動しているようですね。ソフィーと組んだEP“Vroom Vroom”も良かったですが、今回はジョージア州アトランタ出身の19歳のラッパー、リル・ヨッティーをゲストに迎えています。こういう人選とか、ハロウィンのタイミングに合わせてリリースしたMVでのファッション・アイコンぶりを見る限り、センスのある人なんだと思いますし、面白い動きをしてくれそうだと期待しています。
TR-9. Common (feat. Stevie Wonder) - Black America Again
TR-10. Daya - Sit Still, Look Pretty
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水カン“アラジン”デジタルリリース&MV公開
昨日は「水曜日のカンパネラ ワンマンライブツアー2016~SUPERMAN~」の初日・川崎CLUB CITTA'公演に行ってました。ライブの感想はネタバレになるので置いておいて、この新曲には触れておきたいです。今回のツアーに先駆けデジタルシングルとしてリリースされた“SUPERKID”からの1曲、“アラジン”。
前作の“松尾芭蕉”がスケール感が大きくギミックの多い充実した曲で(今回のシングルにもiTunes Exclusiveとして限定収録されています)、個人的にかなりツボでして、次はどう来るかと楽しみにしていたのですが、新曲は“松尾芭蕉”と好対照を成す、B級感漂うミニマルなダンス・チューンで攻めてきました。
音の作りとしては“メデューサ”の同軸上にあるディスコ・ファンクなんですが、今回はわかりやすく「2016年版スリラー」ですね。実際に“Thriller”のリズムパターンを下敷きにしています。ビートの輪郭がビビッドで80sカラーが濃く、マイケルに限らずユーロビートやディスコ全盛の80年代のJ-POPとも親和性がありますし、ここ日本でも懐かしさを感じる方も少なくないんじゃないでしょうか。コムアイの歌唱も、今回はラップ控えめコーラス多めで、彼女の歌声のしなやかさが引き立つ歌謡曲要素の強い作りになっています。なんですが、終盤でのUKハウス/ガラージな展開や、ヴォイスサンプルをまぶしたアレンジなど、随所にひねくれ感があってちゃんとイマっぽく作られているのがケンモチ流。
歌詞の方は、(アラジンのランプを)「こする」という言葉をもとに様々な研磨用語が飛び交う、相変わらずナンセンスながらも遊び心に富んだ内容なんですが、今作はどことなく猥雑さがあり、それが良い意味でB級感を演出しています。水カンでお馴染みの山田智和氏が監督を手掛けたMVも、ボーリング場を舞台にその詞世界をうまく表現していますね。色使いや猥雑な雰囲気は、水カンとの結びつきは薄いですが、個人的にテーム・インパーラの“The Less I Know The Better”を思い出しました。
と、ざっくり解説でした。明日はテレビ朝日系「MUSIC STATION」でこの曲を披露するとのことです。水カンについてはまた機を改めて書きたいと思います。